他人の星

déraciné

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

愛の夢

昼過ぎに 起きたら 空色と 若草色 それに まっさらな 白を 編み込んだ 淡い レース みたいな 公園を ぬけて きみが 好きだ という れすとらんに 行こう 小鉢に 盛られた グリーンサラダ は 雨の 喜びに 跳ねまわる 水滴 みたいに みずみずしくて きみが スプ…

い た い

キズの持ち主である この ぼくが そんなに 痛がっていないのに どうして 先に きみが 痛がるんだい? ぼくには 不思議で しかたない それは きみの 生来の お節介体質 のせいなのか それとも 甘ったるい やさしさを お腹いっぱいに つめこまれて 神経が やら…

「死に至る病」

スライドガラス にのせた からだの 上で メスが 光る つんとした 消毒液のにおい は 苦手 だけれど 慢性的な 胸苦しさ それに どこか 奥深いところからくる この疼痛の 原因は いったい 何なのか すっ と ひとすじ 切り込みを入れる ぽたぽた と 血のしずく…

哀歌

もし ぼくが 壊れたら 一度きりで いいから いや できれば 二度 せめて 三度くらいは 修理に 出してくれる かな それで 四度目の 正直 もし また 壊れたり きみを 困らせたり きみの 役に 立てなくなったら そのとき は 捨てちゃっても いいから さ そうして…

『バットマン ダークナイトライジング』(4)

満ち足りた「死」を死ぬのか 満たされない「生」を生きるのか 『ダークナイトライジング』の最初の黒幕、ベインは、マスクをつけて絶えず薬を吸引しなければ地獄ほどの苦痛を免れ得ず、バットマンは、彼に、「起爆装置の場所を教えたら、死ぬことを許してや…

『バットマン ダークナイトライジング』(3)

寄せては返す 波のように ところで、物語とは、大塚英志氏が様々な物語論をまとめたところによれば、基本的に、「行って」「帰ってくる」という構造を持っている、ということです。 つまり、主人公が、ふとしたきっかけから、日常を離れた場所へおもむき、そ…

『バットマン ダークナイトライジング』(2)

「どこへでも行けたのに」―引き継がれた闘い さて、傷心のブルースを慰めるように現れた、もう一人の女性が、ミランダ・テイト(実は、ラーズ・アル・グールの娘タリア・アル・グール)です。 彼女は、ウェイン産業(ブルース)が計画を頓挫させた“慈善事業”…

『バットマン ダークナイトライジング』(1)

物語と生きる どちらかというと、暗い物語の方が好きです。 どこかもの悲しいような、胸苦しさを感じたり、最終的に希望は残っても、それは、はるか遠くに針穴ほどの光が見え隠れするような、そういう映画の方を、よく見ます。 現実の世界では、様々な出来事…

不穏

青空と 黒雲が せめぎ合い 一刻 一刻 姿を 変える 葉が つま先立って 落ちる音 さえ 聞き逃すまいと きみは 耳を そばだてる うずたかく 盛りあがった 積乱雲が 緊張が とけたように 崩れていく 空は 奇妙に明るく 押し黙る きみは じりじりする 嵐の予兆を …

自己主張 できるって いいな

小学6年生になる、姪っ子がいます。 発達段階でいえば、そろそろ思春期、というところでしょうか。 いろいろ難しい時期、といわれますね。 その姪っ子は、義兄夫婦の長女で、私は遠く離れたところに住んでいるのですが、義母(義父は2年前に他界しました)…

わたしが なくした もの

「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?」 西条八十『ぼくの帽子』 子どもの頃から、不注意で、いろんなものをなくしました。 なくしものは、なくしたいと思ってなくすわけではなく、他の人から見たら、たいしたものではなくても、身につけていたり、…