他人の星

déraciné

文明の不安

 

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       そんなに 急いで

 

       どこへ 行くのかって?

 

 

 

       決まってるさ
 

       遠くだよ ずっと 遠く

 

 

 

       外国へでも 行くのか って?

 

       そんなの 古い 古い

 

 

       いまじゃ

 

       月にだって 火星にだって


       行ける時代だよ

 

 

 

       行けるのなら

 

       行かなくちゃ

 

 

 

        けれども

 

       きみは 言う

 

 

  

       行くのは いい けど

 

       どうして 行くのか と

 

 

 

       わかってないね


       行けるから 行くのさ 

      

       ぼくは ね


       遠く 遠く


       なるべく 遠く


       それも なるべく早く


       行きたいんだよ

 

 

 

       さあ もう 時間だ

 

       悪いけれど

 

       きみと 話してる時間は ない

 

       そう 時間が ないんだ

 

 

 

       じりじり あせって


       列車は


       ホームを 飛び出した

  


 
     

 
       何もかも


       びゅん びゅん


       うしろへ 遠ざかる

 

      

 

       目の前から 消えた きみの顔

 

       ぼくが 感じた 一瞬の不安

 

       がたん ごとん と

 

       車輪が砕く

 

 

       いま 轢いたものさえ

 

       何だったのか

 

       忘れるほどに

 

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