他人の星

déraciné

哀歌

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       もし

       ぼくが 壊れたら

       一度きりで いいから

 

       いや できれば 二度

       せめて 三度くらいは

       修理に 出してくれる かな

 

       それで

       四度目の 正直

       もし また 壊れたり

       きみを 困らせたり

       きみの 役に

       立てなくなったら

 

       そのとき は

       捨てちゃっても 

       いいから さ

 

       そうして

       さびしがりやの きみは

       きっと また

       新しい

       ぴっかぴかの いい子

       おむかえ するんだろうけど

 

       そのころ には

       ぼくは がらくたになって

       ほかの何かと まじりあっちゃって

       姿も 形も

       どこかへ行っちゃって

 

       ぼく自身

       もう ぼくって 何だったのか

       わからなくなって

 

       きっと

       きみの となりで

       みっともなく

       泣きわめいたり

 

       きみの みみもとで

       未練がましく

       うらみごとの

       二つも 三つも

       言ったりするだろう けど

 

       空音だと思って

       ゆるしてよ

 

       いや やっぱり せめて

       一秒の 何分の一 

       何十分の一

       何百分の一 で いいから

 

       ほんの少し だけでも

       思い出して くれないかな

       ぼくのこと

 

       それで

       なんとか

       気持ちを

       おさめるからさ