頭上を
鳥が 飛んでいく
影が 千々に乱れ
わたしの 上を
通り 過ぎる
その 長い 指先で
さがして いるのだ
いのちを つなぐ いのちを
わたしは
窓を 閉めて
部屋の すみに うずくまる
気づかれ ない ように
風が 侵入する
すぐ そのあとを 追って
赤い ツタが
身を よじらせ
窓を こじ開け ようとする
その 細い 指先で
さがして いるのだ
からだを つなぐ からだを
わたしは
押し入れの なかに
身を かくす
みつから ない ように
蜘蛛が
いつ
どうやって
獲物に 気づく のか
誰も 知らない
わから ない
あの 糸に
ほんの 少しの 震動も
伝えては ならない
それ だけは
命取り だと いうのに
どんなに 息を 殺しても
どんなに 気配を 消しても
からだの ふるえが 止まらない
やがて
蜘蛛は 近づいて くる
こっそりと 音も なく
侵入 して くる
影が ゆびさし
ツタが からんだ
わたしの 部屋へ