昼間の月
はるか上空で
風が うず巻き うなり声を あげている
空には 雲ひとつない
薄い 白い 爪先のような 昼間の月だけが
わたしを 見おろしている
昼にも 月は 出ているのだと
さがすときには みつからない
忘れていると 不意を突いて あらわれる
それもつかの間
雲が たちまち 覆い隠す
闇にあっては 青白く 優しく
迷い人を 導き
探しものさえ みつかる というのに
白昼にあっては
いつ 誰を どんなふうに
だるま落とし のようにして
生ける者の群れから 引き抜こうかと
黙って 見ている
真っ直ぐで 厳しい まなざしで
あの月が いつも そこにある
見えなくとも
忘れようとも
歌い 踊り 躍動する
あたたかい息吹と 鼓動の上に