他人の星

déraciné

「サクラ サク」

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       それは まるで 

       此岸の おとぎばなし

 

       喧噪 錯綜 迷走 妄想

       結局 沈黙

       

       けれども

       桜は 彼岸の 花 だから 

       素知らぬ顔で  

       花 ひらく

 

       成功 奏功 大成 成就

       そんなものを

       「サクラ サク」 と いうけれど

      

       桜は 彼岸の 花 だから

 

       死んだように 眠る こと

       冬を越え つぼみ 抱く こと

       つかの間 咲いて 雪のように 散る こと

       小さい 実を つける こと

       いつしか ただの 緑の木になる こと

       色づき 枯れて 散る こと

       すべてが 「サクラ サク」 であって 

 

       そうして また

       やさしい 風に きびしい 風に

       淡い花 ゆらす 季節が 来ても

     

       喧噪 錯綜 迷走 妄想

       結局 沈黙

 

       此岸は 相変わらず

       おとぎばなしに いそがしくて

 

       桜は はじめから おわりまで

       「サクラ サク」を

       ただ ひたすらに ひたむきに

       くりかえす

 

       それが 「サクラ サク」 と いうこと だから