人っ子ひとり いない 街
交わす声も 言葉もない 交差点
風だけが 行ったり 来たり
そんなの 好きかい?
灰色の壁が がたがた ふるえて 見てる
鉛色の シャッターが 重々しく
ギロチンのように 落ちて
あたまが ころがり
天を あおぐ
そんなの 好きかい?
いいか 絶対 絶対 落とすなよ って
言われたもの
いつのまにか ポケットに 穴が あいて
どこかに 落として
わからずじまい
そんなの 好きかい?
いや いや 実は
そんな きらいじゃないんだ
“誰か 世界を止めてよ 降りたいんだから” って
誰の言葉 だっけ
すごく 気に入ってたんだ
油もきれて きりきり ぎりぎり 動く時計
消えたとたん
夢は 極彩色
さて 今夜の ロードショーは 何だろう?
消えてしまった 愛しい人
奪われて いなくなった 美しい人
切り立つ 崖にも あらしの 野にも
どんな 高い山にも どんな 深い海にも
探しに いく
勇ましい 冒険家
場末のバーの かなしげな ママは
酔いどれ おいぼれの 話を聞いて
涙を 流す
もしかしたら ああ もしかしたら
生きてるなんて まぼろしだって
ほんとう に ほんとうだ って
誰か
こんどこそ こんどこそ
きっちり しっかり
おしえて くれない かな