胸に 幾何学模様の ひびが入る
ガラスが 割れて
冷たく光る 小さな破片が
体じゅうに 突き刺さる
世界へ向かって 愛を叫ぶのにも
すっかり 疲れて しまった
一瞬の 風にしみる 涙も
痛みも 苦しみも
きっと
知らぬ間に 胸に 巣喰った
化けものの しわざだ と 思う
雨あがりの 夜道が
街灯の下で きらきら光る
無数の ダイヤモンド みたいに 見えるけど
これは ただの アスファルト
誰か こたえて と 呼んでみる
荒れる 波が 声を かき消す
誰か たすけて と 叫んでみる
不安は 強迫に
強迫は 狂気に
変わる
もし 幻ならば 消え去るがいい
もし ほんものだと いうのなら
この胸を その炎で 焼いてみせるがいい
でなければ わたしは おまえを
みとめない
脅迫の声すら かき消して
海は どうどうと
波濤に狂い 踊るだけ