雨に 濡れる のは
嫌い じゃ ない
いちど 雨に 濡れたら
傘 なんて いらない
さあ
両手を ひろげ
顔を あげて
草木の ように
全身で 受けとめよう
ほほ に ひたい に
数えきれない
やさしい キスを
泣きたくても
じょうずに 泣けない
わたしの かわりに
たくさんの 涙を
ひび割れた 心を うるおし
熱い 息吹が
赤い 血潮が
あふれ出す
風の 吹くまま
身をまかせ 流れゆく
なまり色の 雲が 織りなす
空の グラデーション
なぜ こんなにも 愛おしいのだろう
雨に 濡れる のは
嫌い じゃ ない
わたしが
草の 葉のなかで
花が 咲くのを 待っていた 頃の ことを
どこかの 土のなかで
安らいでいた 頃の ことを
風を 愛した
大海の 一滴 だった 頃の ことを
ほんの 一瞬
思い出して
懐かしく なる から