他人の星

déraciné

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「息を して」

熱く 冷たい 砂浜を ただ ひたすらに かけていく 足を とられ 息を 切らし 高く 深い 砂丘で ただ ひたすらに もがきつづける のぼっているのか 落ちているのか わからずに 「こころ」「からだ」「たましい」 呼び名など どうでもいい ただ あなたの その頬…

『リリーのすべて』(1)ー「自分」でいようとすることが、どうしてこんなにも難しいのかー

「ごめんなさい」「すみません」は、最大の防御 つい、一週間ほど前のことでした。 バスの中で、女子大生が2人、そこそこの声量で(少なくとも、車内の人全員に、話の内容がすっかりわかるくらいの)、(マスクをして)、おしゃべりをしていました。 「コロ…

逢魔時

生者と 死者が 行き交う その刻 闇の 重さに ねじ伏せられて 太陽は 決して 明日を 約束しない 「金色(こんじき)の麦 この胸 いっぱいに 積んだら 帰ろう」 と それが ただの書割だと 気づく頃には もう 遅い 頭上に 迫る 黒雲と 稲光 カラスの群れが 最後…

星月夜

ぼんやりと 目が かすんだように 世界の 何もかもが 二重にも 三重にも にじんで 見えることが ある きのうまで つい 一瞬間前までは はっきりと しっかりとした そのかたちにしか 見えなかったものが 光 でさえ 闇 でさえも もはや わたしに 親(ちか)しく…