他人の星

déraciné

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『他人の星』

人は、自分のものなど何ひとつもたずに生まれてきて、他人の布団の上に寝かされ、そこへ、自分の居場所をつくっていかなければならないという問題を抱えている、と言ったのは、宮崎駿監督でした。(スタジオジブリ『夢と狂気の王国』) このブログの名前も、同…

バラの言葉

朝、いつもバスで通る小さなスーパーの前に、「看板犬」がいます。 赤の柴犬で、もう何年も前からそこにいて、だいぶ年をとったのでしょう、最近では、眠っているか、「伏せ」の姿勢で、まぶしそうに目を細めて、朝日を見ています。 その犬が、どんなにまぶ…

きみの永遠

いちばん 濃くて 新鮮な ミルク みたいに ちからいっぱい そそがれる 朝の光を まっすぐ みつめて きみは それだけで 満足そうに 目を 細める きみが 少しも おそれないから 「死」も 少しも おそれない まるで 守護天使か 聖母みたいに いつくしみ深い 微笑…

音楽のゆりかご

ビートルズの、“Eleanor Rigby”という曲が好きです。 前日の詩は、この曲と歌詞のイメージで書いたものです。 もう何十年も前のことになりますが、私が大学生のとき、ビートルズのアルバムをCDで買いそろえ、ヘヴィローテーションしてました。 おかげで、何…

“all the Lonely People” 

何億光年 はるか 遠い どこかの 星の 小さな部屋で 誰かが 幻灯機を まわしている そこに 映るのは 何億年も 前に 生きていた 人たちで いま 映像に 見入る その 誰かにとっては 夢のなかの人 同然 なのだけれど 何億光年も はるか むかし そこにあった 蒼い…

『LOVELESS ラブレス』(6)

「私の眼は彼の室の中を一目見るや否や、あたかも硝子で作った義眼のように、動く能力を失いました。私は棒立(ぼうだち)に立竦(たちすく)みました。それが疾風の如く私を通過したあとで、私は又ああ失策(しま)ったと思いました。もう取り返しが付かないとい…