他人の星

déraciné

憤懣

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       家は

       生きてる人間

       入れとく 墓だって 

       言った人がいる

 

       それなら

       さしずめ

       ここは

       かりそめの

       共同墓地 で

 

       誰が 誰か

       特定もされず

       一緒くたに

       穴に

       放り込まれて

 

       カルシウムの

       からから 鳴る音も

       誰が 誰か

       分かりは しない

 

       ついでに いえば

       本当は

       本当のことなど 何も

       本当は

       生きてるのか 死んでるのかも

       何も 何も

       分かりは しない

 

       カルシウムが

       からから 鳴るよ

 

       「生きてた」ときの

       メロディーを

       物語にして

       誰かに

       きいてほしいけど

 

       そんな気持ちも

       いつまで あるやら

 

       カルシウムが

       からから 鳴るよ


       自由に かろやかに

       天へも 届けば

       地へも 響く


 

       そのうち

       ぜんぶ ぜんぶ

       溶けて 広がって

       やがては

       なんにも

       なくなって しまうのだろうか

 

       あんなに かなしかったのに

       あんなに いたかったのに

       あんなに くるしかったのに

 

       ばかみたいだ

       ばかみたいだ


 
       やり場のない この思い

       みんな みんな

       どこかへ 消えて

       なくなって しまうのだろうか


 
       それなら

       どうして

       感情なんて よけいなもの

       くれて よこしたんだよ