さあ 出てゆこう
太古の海を
からだも こころも
なるべく 汚して
できるだけ 台無しに
あとかたもなく 破壊するために
からだを レールに縛りつけ
よどんだ空気を
胸いっぱい 吸い込んだら
真珠の涙も
澄んだかなしみも
逃げていく
彼らには その場所ではないからだ
「どたん」 と大きな音を立て
夜が明ける
「ばたん」 と大きな音を立て
日が暮れる
車列の 苛立ち
赤い テールランプ
相互干渉と 摩擦が
目的を
どんどん 遠くへ
押し流す
風にまじって
きこえる声は
車輪に 轢かれた
死者のものか
轍に 埋もれた
生者のものか
時計の針が 背後から迫る
早く行けと 背中を押す
その先が たとえ 断崖でも
胃袋の事情など
とうに無視
脳の限界も
とうに越えて
わたしは わたしを
続行する
人間という 野獣のくさみ
ワインで 消して
