他人の星

déraciné

 

 

 

        「キョッ キョッ」

        という音に 

 

        いったい なぜ どうして いま と

        おどろいて

        声の主を  探した

 

        その 数秒後 には

        勘違いだ と 気づいて

        ああ 馬鹿だな と思う

 

        この 音は

        車の アンサーバック

 

        なのに わたし は 

        昼間 なのに ヨタカが 鳴いている と

        あたりを みまわし

        その 姿を 探した

 

        自分は ひとさまに 見せられるほど

        美しくない から と

        遠慮 して

        闇に まぎれてしか あらわれない

 

        ヨタカの 鳴き声 と

        聞き間違え なんて

        どうして してしまったか

 

        情けなく なって

        かなしく なった

 

        鳴きながら 泣いて

        泣きながら 鳴いている

 

        あの 鳥の

 

        いじらしくて 愛らしい 気持ちを

 

        踏みにじってしまった 気が して