他人の星

déraciné

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィリアム・ゴールディング 『蠅の王』 (5)

“そのとき”が来るまで、誰も気づかない さて、ここからは、再び、ネタバレになりますので、ご注意ください。 前回ふれた、少数派は「悪」とみなされやすい、という人間心理の傾向は、『蠅の王』の物語でも、その後の少年たちの行動に徐々に影響を及ぼし始め…

ウィリアム・ゴールディング 『蠅の王』(4)…にかこつけて、「マスクするのしないの云々かんぬん」について

「ラーフは他の所を通らず、この固くなっている一条の砂地の上を歩いていった。考えごとをしたかったからである。この砂地の上だけしか、足に気をとられずに自由に歩ける所はほかになかった。波打ち際を歩きながら、彼はあることに気づき、愕然とした。この…

鈍色の まぶたの 間 から 線香花火 のような 太陽 が 顔を 出す 黄色く 濁った そのひとみは わたし あるいは ほかの誰かが 死んでも いちべつも くれは しない みずからの 重みと 熱と まぶしさ に せいいっぱい だから 風が どこから か 甘い 花のかおりを…

ウィリアム・ゴールディング 『蠅の王』 (3)

「仮面」は、「顔」を奪う ここからは、ネタバレを含みますので、ご注意ください。 少年たちから、「投票」という民主的な方法で、みんなのリーダーに選ばれたラーフ。 そして、誰よりも自分こそリーダーにふさわしいと思っていたのに、ラーフに負け、狩猟隊…