他人の星

déraciné

流砂

何か とてつもなく 真実ないのちが この世を見たら どう見えるだろう 人は きらきら光って 風に舞う 砂粒にしか 見えないかもしれない 人のつくるものは 砂上の楼閣 根も なく 翼も なく 雨に 風に さらさら 崩れ いずれ あとかたもなく 消える 生きている …

故郷喪失

誰も 知らない 何も わからない むかし たしかに あったらしい ということ 以外 には 何億光年 はるか 遠く いま とどく便りは 過去の光 何が 本当なのか 本当など 本当に あるのか どうか ぽっかりあいた 空虚な穴を じっとみつめる 妄執 「わたし」 という…

呪われた夢

風が 吹いている 命を 吹き込み 魂を込めた 銀色に 光る 美しい 飛行機が 暗く 不吉な 稲妻はしる 雲の峰へと 向かっていくのを やがて 嵐と 神鳴りが それを めちゃくちゃに 破壊し尽くしてしまうのを 知っていても どうすることも できない ただ 黙って 立…

祈り

「天に おわします 神よ どうか 罪を お許しください この上 厳しい試練などに 遭わせられませんよう どうぞ お守りください この 弱きものを この 小さきものを お救いくださいますよう どうか 憐れんでくださいますよう」 両掌を合わせ 祈る姿は 美しい だ…

頽廃

さあ 出てゆこう 太古の海を からだも こころも なるべく 汚して できるだけ 台無しに あとかたもなく 破壊するために からだを レールに縛りつけ よどんだ空気を 胸いっぱい 吸い込んだら 真珠の涙も 澄んだかなしみも 逃げていく 彼らには その場所ではな…

  神

偶然に 偶然を 積み木のように重ね 生まれて 生きる 自意識をもった 物体を どんな言葉で讃えようと どんな言葉で貶めようと いずれ 等しく 流れ去る 時の砂 存在したかどうかなど 神でさえも きっと 知りはしない おかしなものだ 人智を越えた存在を 人は …

  愛

「だって バラのやつ あんまり 高慢だから」 もし ぼくが 星の王子さまなら こう言うだろう 「だから 水を やるふりして 風から 守るふりして あいつの首 絞めてやったんだ バラのやつ まさか そんな目に遭うとも思わず 最後まで 高慢ちき だったよ」 けれど…

drive my car

日が昇る 夕べの 涙は ぬぐったね 食事を がそりんを からだを 満タンにして エンジンかけて 走っていくんだ ボディは みがいた キズ ひとつなく くもり ひとつなく 新品みたいに 見えるかな ナンバープレートは 承認のあかし なくしたりしたら 大変だ ほん…

故郷

はたらき疲れた おとなのように 小さい漁船が 眠りにつく ゆりかごのように ゆらす波 暮れる光は 天蓋つきの カーテン 遠い山に 沈む一瞬 最後の陽光の まぶしさに ここが 私の故郷でないことを 思い出す ここは 故郷から 西へ 西へ 空を渡ってたどりついた …

世界

昼の公園と 夜の公園は 別ものだ 昼間の公園は 子どもたちのもの ブランコも 回旋塔も お砂場も 腕を広げて 子どもたちを待っている 「遠くへ行ってはだめ」 「知らない人に ついていってはだめ」 親の言葉が 子どもを囲う ブランコも 回旋塔も お砂場も 子…