自問自答
空虚だ むなしい と
おまえは
深く とがった ため息を つく
けれど
にわか雨が
気まぐれに おきざりにした
あの 水たまりほども
おまえの 心が
何かで 満たされたことなど
あっただろうか
かなしい くるしい と
おまえは 涙を流す
けれど
それは
ほんとうに
かなしみ や くるしみ というものなのか
おまえは 何も 知らない
誰かに おしえられたことを
うたがいもせず
鵜呑みにして
いままで 生きてきて しまった
野を吹く風に
枯れたすすきが ざわざわと
ひどく なつかしい音を立てて 鳴るのを
たったひとりで きいたのは
いつのこと だったのか
あの音から 生まれ
あの音に 死ぬのだ と
いつのころから 知っていたのか
深い夜の 真ん中で
ひとりで 立ち
ずっと いつまでも 聞いている
ずっと いつでも 聞いている
ほんとうは 名前など 知らない
名前など ない
ただ ひどく 胸をゆさぶる
あの ざわめきを