他人の星

déraciné

 

 

         涙を ながしながら みあげた 空

        「いったい 何が そんなに 欲しい?」と きいてくる

        

        澄みわたる 青の かなしみと 冷静

        情熱の 赤も かなわない 熱情の 青い炎に 

        目が 熱く 痛む

 

      

        うつむきながら 時も忘れて 歩いて いると

        太陽は 今日最期の光を 矢にして 投げる

        赤い 赤い 血を流す 空

   

        どこかの 草むらで

        ちりちりと 秋の虫が 鳴いている

        「いったい 何が そんなに欲しい?」と きいてくる

 

 

        わからない

        わからない

 

 

        それは とても 近くて 遠くて

        太陽の ようで 星の ようで

        どこまでも 広がる 闇の ようで

        隠しきれない 一条の 光の ようで

 

        愛さなければ おかしく なりそうで

        愛しても おかしく なりそうで

 

        いとおしく 恋しく 哀しく 苦しい

        切なく さみしく くるおしく

 

        すみずみまで 丁寧に 居場所を奪い

        無造作に 居場所をくれる

 

 

        「どこかへ 行ってよ」

        「どこへも 行かないで」

 

        あなたが 去ったら きっと 生きられる

        あなたが 去ったら きっと 生きられない

 

 

        二つの 想いの あいだで

        永遠に 引き裂かれる

        わたしを いったい

        どうすれば いいのか